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釧路地方裁判所帯広支部 昭和37年(ワ)76号 判決

原告 古沢正利

被告 国

国代理人 高橋欣一 外一名

主文

本件訴を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

理由

本件訴状によれば、「原告は、請求の趣旨として、被告は原告に対し金五〇〇、〇〇〇円を支払え、訴訟費用は被告の負担とする、との判決を求め、請求の原因として、原告は、訴外野崎武、同伊藤正夫らを相手方として釧路地方裁判所帯広支部に損害賠償を請求する訴を提起した(同裁判所支部昭和三六年(ワ)第三六号)が、同裁判所支部裁判官は、証拠の評価を誤つて、原告提出の書証を措信せずに、右野崎ら提出の書証を措信したため、事実を誤認し、昭和三七年二月一三日、原告の請求を棄却する旨の判決を言い渡した、原告は、この誤つた判決により、本来右野崎らから支払を受けることのできた金五〇〇、〇〇〇円の支払を受けることができなくなり、これと同額の損害を蒙つた、そこで本件請求に及ぶ。」というのである。

原告が本訴において、被告である国に対し損害賠償を請求する根拠は必ずしも明らかではないが、その主張するところは、前記別訴における判決が違法であることを前提として、その結果原告が損害を受けたというにあるものと解されるところ、本件において原告が主張する判決の違法は、専ら訴訟法の定める上訴あるいは再審の訴により、これが是正を求むべきであるから、原告の本件訴は不適法であり、かつ、この瑕疵は補正することができないから、口頭弁論を開くまでもなく、本件訴は却下を免れない。(なお、原告主張の野崎らに対する損害賠償請求事件は、原告の控訴申立により、現に札幌高等裁判所に係属中であることが、当裁判所に顕著であり、原告は同裁判所の審理において判決の違法を攻撃すべきである。)

よつて、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 井口牧郎)

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